「孤独死」防止に見守り基準 県が手引き、市町に配布へ/栃木

2010年04月14日 下野新聞

 高齢化や核家族化を背景に、増加が懸念される孤独死を防ぐため、県保健福祉部は13日までに「高齢者見守りネットワークづくりの手引」を作成した。
高齢者の身体状況や周囲の支援状況を点数化し、見守りの必要性の度合いを判断する「見守り必要度基準」を独自に設けたのが特徴だ。全国的にも数少ない試みという。

 地域包括支援センターや民生委員、老人クラブなどの団体が地域ごとに連携し、見守りが必要な人の情報を共有して確実に訪問する「見守りネットワーク」づくりを促すのが狙い。月内に県内市町と関係機関に計約2千部を配布する。

 県高齢対策課によると、昨年6月時点で、県内全市町が高齢者対象の緊急通報システムを導入したが、見守りネットワークがあるのは宇都宮、鹿沼、さくら、高根沢の4市町にとどまっている。

 手引はA4判36ページ。関係者からの聞き取りや全国の先進事例を調べ、(1)見守りネットワークの構築(2)見守り対象者の把握(3)見守り方法(4)個人情報の取り扱い-のポイントをまとめた。

 見守り必要度基準は、本人の状況(年齢や要介護度など5項目)と、周囲の支援の状況(家族関係、近隣関係など4項目)について、項目ごとに3~2段階で点数化する仕組み。点数が高い順に「専門的な対応が必要」から「地域の見守りで対応」まで4段階の必要度に分けられる。

 手引の配布について、福田富一知事は「県内それぞれの地域で高齢者が安心して暮らせるための態勢づくりができるよう努めていきたい」と話した。

 県は高齢者虐待に対する関係機関の役割を明記した「高齢者虐待対応マニュアル」(A4判97ページ)も作成。月内に計約1千部を市町などに配布する。