手助け365日 安心お届け/高知

2011年04月07日 朝日新聞

 高知市旭地区の住民グループ「アテラーノ旭」(山中雅子代表)が手がける弁当宅配、掃除や洗濯などの家事を手伝う「手だすけ事業」が好評だ。グループは地域にだんらんの場を開くなど、高齢者や障害がある人も暮らしやすいまちづくりにも取り組んできた。資金など課題はあるが、「介護保険だけでは見守りに限界がある。官と民が輪をつくり、支える仕組みをつくりたい」と先を見据える。

 弁当は365日対応で、昼食と夕食を1食450円から550円で宅配し、数十軒が利用している。3月のある日のメニューはサバの煮付け、白菜と厚揚げの煮物、ホウレン草の菜種あえなど。入り組んだ路地を軽自動車で1軒1軒回る。

 顧客の多くは一人暮らしの高齢者だ。山本節美さん(81)は足が悪く、グループが運営するだんらんの場まで行くのが難しい。山本さんは「弁当はいろいろ入って健康にもいいし、これからも取りたい」と感謝する。刈谷澄子さん(86)も、食材を買うと量が多すぎて腐らせてしまうことも多かった。「味も良く重宝しています」と喜ぶ。


 アテラーノは土佐弁の「私たちの」から採った。2004年に地区の銭湯が廃業になり、困った高齢者が近くの川で行水する事態に危機感を募らせたのが発足のきっかけだった。住民が署名を集め、06年に地区内の木村会館での入浴サービスを実現させた。

 風呂だけではなかった。街を見渡すと、店じまいした商店が目立ち、自宅に閉じこもっている高齢者もいた。悲喜こもごもをみんなで語り合える場を作ろうと、会の役員がお金を出したり、地域の人から寄付を受けたりして、07年にだんらんの場を開いた。一日数十人が食事やおしゃべりを楽しみ、趣味の作品の展覧会場にもなっている。


 だんらんの場に来られない人も手助けしようと、09年9月から「手だすけ事業」を始めた。簡単な家の修理、家具の移動、暮らしの相談などにも応じる。

 弁当の配達時には話し相手にもなる。安否確認にも役立ち、倒れていた高齢者を見つけたこともあった。

 顧客が「売ってお金にして」と不用品を持ってきてくれたり、クイズの懸賞金を持ってきてくれたり、魚や野菜を持ってきてくれたりと、活動はすっかり地域に根付いている。「年中タイガーマスクが来てくれる感じです」と山中さん。

 それでも資金集めは大きな課題だ。現在は国のふるさと雇用制度を活用した市の委託を受け、手だすけ事業で6人を雇用。料金設定も安価だ。11年度末までの委託期間の後、職員の雇用や料金をどうするか。山中さんは「一緒に汗を流してきた人の雇用をどう続けるか模索したい」と悩む。

 県地域福祉政策課によると、12年度以降も県独自に事業を続ける方針だが、新たに市町村負担が必要になる。市町村によって予算額や対応に差が出る可能性もあるという。(前田智)