電力データで高齢者見守り 使用量の変化で異変検知する実証実験/蒲郡市

2024年01月11日東日新聞


 1人暮らしの高齢者の見守りに生かそうと、蒲郡市は電力の使用状況で異変を察知する実証実験を始める。高齢世帯の安全や利便性を高め、介護職員の業務効率化にもつなげる。システム導入に先立ち、10日、中部電力ミライズコネクト(名古屋市中区)と業務提携を結んだ。

 システムは、各世帯に設置された電力スマートメーターから消費電力のデータを収集し、使用量の変化で異常を検知する仕組み。過去2週間分のデータを学習し、違いがあれば通報システム「テラシテR」が作動。緊急連絡先の生活援助員や市に連絡し、迅速な支援につなげる。

 実証実験の対象は、市内42戸の高齢者世話付住宅(シルバーハウジング)。このうち、すでに入居者が同意した市営丸山住宅の8戸で17日から導入する。2月から市内2カ所の県営住宅でも始める予定だ。実証期間は3月末まで。
 シルバーハウジングには、緊急通報装置などの設備があり、生活援助員が定期的に安否確認を行っている。市内の公営賃貸住宅に計42戸あり、単身や夫婦のみの高齢者世帯の自立した暮らしを支援している。

 鈴木寿明市長と秋山光輝社長が10日、蒲郡市役所で協定書を交わした。鈴木市長は「高齢者が常に心配する孤独死を防ぐためにも有効だ。連携を強め、安心安全に暮らせる蒲郡にしたい」。秋山社長は「県内初の事例。これを機に中部全域に広めて、課題解決につなげたい」と話した。

 同社は2021年、中部電力ミライズと三菱商事が共同で設立。デジタル技術を活用し、暮らし全般のサービスを提供している。