世界で初めて商品化、浴室内事故防止支援センサ-三洋電機が「風呂用心」を発売-

2002年06月06日 ふくしチャンネル

 三洋電機は、浴室内事故防止支援の非接触型センサ「風呂用心」を、7月1日より発売する。

 高齢者の家庭での事故死者は、年間7,500人以上で、交通事故者よりも多く、社会的にも大きな問題。なかでも浴室内での溺死事故は、年間3,000人を超え、過去10年間で3.6倍に増えている。

 そのうち、8割強が65歳以上の高齢者で、高齢社会が進むにつれて今後更に増加することが予想されている。

 浴槽内での溺死は、4分間心停止状態が継続すると救命率が著しく低下すると言われており、事故の早期発見を支援する機器類の開発が望まれていた。

 今回発売の動き検知センサ「風呂用心」は、浴室内で入浴者が何らかの原因で動けなくなった場合に、センサが自動的に検知し、浴室内への呼びかけと外部機器を通じて通報をおこなうことにより、これらの事故の早期発見を支援する機器。

 センサを使用することで、プライバシーを侵害することなく、密室性の高い浴室内での事故を早期発見することが可能となり、安心して入浴することができる。

 また、浴室内は、人体に近い温度や高い湿度といった環境で、入浴者のみの動きを自動検知することが最も難しい場所とされていた。

 センサは、高解像度・高感度CCDを利用して、検知エリアを8×8の64領域に分割し、各領域の明るさと色の時間的な変化から入浴者の動きを検出するため、温度や湿度には影響されず入浴者の動きのみを正確に検知できる。

 また、人以外の動くもの、例えば--シャワーのお湯、浴槽の揺らぎやあふれ出るお湯、ブロー機能のある浴槽における水泡に対して、独自の動き検知アルゴリズムにより、誤検出を防ぎ、入浴者の動きだけを検出。

 同社は今回、浴室内全ての場所での動き情報を自動的に検知することが可能なセンサを世界で初めて商品化することに成功した。

 プライバシー保護のため映像は出力せず、動き判定の結果のみを出力。このため、個人のプライバシーを侵害することはなく、安心して使用することができる。

 また、浴室内のどの場所でも動きが検知できるので誤報が少なく、使いやすいセンサで、ハードウェア構成は、40万画素CCD、専用動き検出LSI、動き判定用マイコン、アラーム部などからなっている。

 入浴者が動けなくなった時には、ボタンを押すなどのアクションをする必要がなく、自動的に検知して知らせる。従来からある押しボタン式の通報装置では、急な意識喪失の際にはボタンが押せないなどの問題があった。

 また、手や頭を軽く動かすといった軽い動作で反応するため、状態確認時、入浴者に余計な手間をかけさせない完全非接触型。

 センサ本体は、重量が約160g、設置寸法が幅120×奥行60×高さ29mmと非常にコンパクトで設置していることが気にならない。

 センサからの音声による知らせは、誰にでも解り易いメッセージで呼びかけをおこない、音声メッセージは、安否確認や最終警告(通報)など8種類。また、5種類の動作表示灯(LED)の点灯状態により、動き判定の動作は目でも確認することができる。

 センサ機能の異常を知らせるサービスコールは、音声メッセージと動作表示灯により、目と耳の両方で確認が可能。

 さらに、接続する外部機器により幅広い方法での通報が可能。例えば、家庭内の情報盤や音声警報機への接続で、他の部屋にいる家族に知らせたり、緊急通報装置などを通して電話回線と接続することで、警備会社や近所の病院、隣人などへの通報が可能になる拡張性を備えた。

 メーカー希望販売価格は、本体68,000円。別売品アダプタ7,000円、当初月産台数2,000台としている。