高齢者を対象とした健康支援型の救急通報サービスを開始
-東芝、東芝ロケーションインフォ、綜合警備保障-

2002年04月09日 ふくしチャンネル

 東芝と東芝ロケーションインフォは、1人暮らしの高齢者や高齢者夫婦世帯向けの救急通報サービス「ナースフレンド」を商品化し、4月9日から営業を開始する。

 同時に、新サービス開始にあたり、利用者の救急時における安否確認などのため、綜合警備保障との業務提携契約も締結した。

 高齢者を対象とした救急通報サービスとは、利用者の住宅に緊急通報装置を設置し、通報ボタンを押すと通報センターに通報され、救急車の要請などの必要な対応をおこなうサービス。

 新サービスでは、通報センターで通報を受けた後センターからの呼びかけに利用者の応答がない場合、地域協力者もしくは綜合警備保障が利用者の安否確認をおこなう。

 全国の綜合警備保障の営業区域でサービスを提供できるので、地域協力者を必ずしも必要とせず、自治体サービスにおける協力者確保難を解消し、自治体の負担を軽減する。全国規模で利用者の安否確認までおこなえる高齢者向けの救急通報サービスはこれまでに例がなく、個人加入も可能。

 また、通報センターで看護師などの医療実務経験者が24時間待機し、通報受信時には通話で利用者の容態を確認のうえ、医療知識、経験に基づいて救急車手配などの適切な対応をおこなう。

 さらに、看護師が定期的(2回/月)に利用者に電話で健康状態の把握やアドバイスなどを実施することに加え、24時間体制で健康相談にも対応する健康支援型のサービスで、コミュニケーションの重視により、利用者が躊躇なく早めに通報できる環境を提供する。

 新サービスにおける3社の役割は、東芝が自治体からの事業受託、福祉関連の法人への販売を担当。東芝ロケーションインフォが通報受信センターの運営、個人加入者との契約を、綜合警備保障が装置の設置作業、利用者の安否確認をおこなう。

 3社は、自治体からの事業受託の他、自治体のサービスを受けられない個人契約の市場を開拓し、2年間で100自治体からの事業受託と、個人加入を含め5万人の利用契約を目指す。

 サービス開発の背景をみると、1人暮らしの高齢者が急増し、いわゆる孤独死の増加も社会問題化するなか、装置のボタンを押すだけで救急車などを手配する緊急通報サービスは、国の助成事業として約80%にあたる2,573自治体が住民に提供しており、利用者は20数万人と推定される。

 しかし、2000年国勢調査によると、1人暮らしの高齢者は1995年に比べ約83万人、37.7%も増加し約303万人となっており、緊急通報サービスの利用者は10%にも満たない状況。

 いっぽう、サービス実施自治体からは、いくつかの問題が指摘されている。例えば、通報受信センターを消防署に設置して運営している自治体では、利用者の増加に伴い誤報も増え、消防署の本来業務への負担が大きくなっているため、利用者を増やしづらいこと。地域社会とのつき合いの希薄化から、通報後呼びかけに対する応答がない場合に利用者の安否確認を依頼する地域協力者(近所に住むの親戚やお友達)の確保が難しいこと。緊急ボタンを押すことに遠慮があり、有効な利用に繋がっていないこと。--などが挙げられており、事業の民間委託が急速に進んでいる。

 「ナースフレンド」サービス料金、個人契約のサービス料は、機器設置標準作業料を含む加入料が16,000円。レンタル料を含む月額サービス料が3,800円。綜合警備保障による安否確認が6,000円/1回。自治体からの受託費用は、サービス仕様により異なるため、個別に提示する。