認知症の高齢者見守るアプリ 神奈川でプロジェクト

2019年04月26日朝日新聞

 
 認知症の高齢者らが行方不明になった際の早期発見や身元確認に、専用アプリとステッカーを使って取り組む「相模原市民みまもりあいプロジェクト」が、今月から同市内で始まった。地域ぐるみで見守りを行い、行方不明者をゼロにしようという試みだ。
使用するのは、2016年度に厚生労働省のモデル事業で使われた「みまもりあいアプリ」と「みまもりあいステッカー」。認知症の高齢者の行方がわからなくなったら、その家族がアプリを使用して捜索依頼を行い、アプリをダウンロードしている人が捜索に協力するという仕組み。

 参加するには、認知症でひとり歩きのおそれがある高齢者と、その家族らが、認知症の啓発などに取り組む団体「さがみはら認知症サポーターネットワーク(さがサポ)」に、みまもりあいステッカーの発行を申し込む。その際、電話番号、性別、年齢、顔写真、特徴などを登録。フリーダイヤルと10ケタのID番号が記載されたステッカー48枚が渡され、高齢者は服やかばん、財布などにステッカーを貼っておく。

 高齢者らが行方不明になった際に家族が捜索依頼を出すと、半径500メートルから20キロ圏内にいる、アプリに登録済みの人に通知される。発見した人はステッカーにあるフリーダイヤルに電話をかけ、ID番号を入力すれば、自分の個人情報は知られずに家族らと直接連絡が取れる。

 さがサポ事務局長の井戸和宏さん(46)によると、個人情報が漏れることをおそれて捜索や通報に二の足を踏む人も多いが、みまもりあいプロジェクトによってその解消が期待されるという。井戸さんは「オール相模原で市民が見守り、助け合う街にしていきたい」と話す。同プロジェクトは行方がわからなくなった障害者や児童の捜索や、落とし物の捜索にも活用できるという。

 ただ、「アプリをダウンロードする人が多くいなければ機能しない」と井戸さん。現在、市内でのダウンロード数は約3千件で、これを30万件まで増やしたいという。このため、市や市社会福祉協議会、市自治会連合会などが後援し、アプリ登録の促進に力を入れていく。

 アプリのダウンロードは無料だが、ステッカーの利用には入会費2千円と年会費3600円が必要。問い合わせやステッカーの申し込みなどは、さがサポ事務局(042・707・1603=平日午前9時半~午後6時半)へ。